ブックタイトル観劇サポートガイド

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概要

観劇サポートガイド

(2)客席計画1サイトラインと客席レイアウト多層の客席構成で、両サイドにバルコニー席を持つホールが増えている。一階席のサイトラインを良好に保つために、一階席の勾配をきつくすると、上階の客席勾配をさらにきつくしなければならない。そのために、客席通路階段の段数が増え、一列の間に3段の階段があるという例もある。縦通路に手すりを設ける、正面の手すりを高くする、といった安全策や心理的な不安感を解消する方策がとられているが、これらの手すりは客席から舞台への視線を遮ることもあるため、さらなる検討と改善が必要である。また、上演中の入退場や急いで移動する観客のために、暗い客席内でも安全に歩行できるように、通路の階段の縁は分かりやすく色を付けるなどの配慮が求められている。サイドバルコニー席からは舞台全体を見通すことは難しく、特に上階で舞台に近い席からは、舞台の一部分しか見えない例もある。舞台に近いという利点はあるものの、舞台全体が見えないため、クレームになりやすい。また、身を乗り出して舞台を見ようとすると、後方の観客のサイトラインを妨げてしまうことになる。上階の客席やサイドバルコニー席は、客席の一体感を高める重要な要素ではあるが、劇場の機能面からも鑑賞条件が悪く、安全・安心の面からも、十分な対応ができていない。運営面も含めた改善策の検討が必要である。-34-